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武田地球WEB
Diary
星影神社
2025年1月1日
なにか書こうとおもったので書いた、
さっき星影神社に行った、
わたしの街にある星影神社は、
まずなまえがすばらしい、
それだけでもう、どうしようもなくすてきだ、
それからすてきなところがもう一つあって、
いつも誰もいない、
今日は元旦だというのに誰もいない、
それなのに、
とても短い参道にはちゃんと提灯がひかっていて、
誰もいないはずなのに静かにひかっていて、
そういうことがある、
このあたりは空気が澄んでいるものだから、
星影神社からは星がよくみえたりもする、
わたしはよくかみさまのはなしをする、
かみさまたちは、
こんなふうにわたしの街の中にいるのだとおもう、
かみさまに今年の抱負をきかれた、
きれいな字を書くこと、
ともだちを作ること、
あとはかみさまを探し続けること、
これらを忘れないでいたい、
ライチと花
Litchi
窓の近くに立っていた、ときどきライチの名を呼んだ、
花がよく咲く家だった
ライチは空想上の犬だった、それなのによく懐いた
いつもわたしたちについてきて、
ダルメシアンと何かの雑種だった
模様がすこし変わっていた、脚が短くまるかった、
なぜだか一度も吠えなかった
花が咲かなくなったから、ライチはいなくなった
逃げてしまったのだろうか、
あるいは死んでしまったのだろうか
あれから何十年も経って、
机の引き出しの奥、もっとも大切なものをしまってある箱に、
わたしは一枚の絵を見つけた
誰かが書いたライチの絵、模様がすこし変わっている、
脚が短くまるいあの犬
ライチ、
井の頭恩賜公園を駆け抜け、ほそい路地の階段をあがると、
数え切れない花々が降る
わたしたちは今もあの街の中に暮らしている
遠くで犬がひとつ吠え、 わたしはたしかに永遠を見た
ライチと花
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第一詩集「大阪のミャンマー」 しろねこ社
待望の武田地球の詩集。
彼女の詩は、孤独、切なさを剥ぎ取ったあとの優しさが僕たちの胸をうつ。
大阪のミャンマー、僕たちはこの詩を読むたびに、多分1日の安息を得る。生きていて良かったと思う。
(しろねこ社より抜粋)